コナユキフレフレ [小話]
ネイル写真ばかりアップしていて、いったい何のサイトかわからなくなりそうなので、リハビリの意味も含めて、小話です
『天の闇地の光』から、幼いころのトールと兄さまとダンを……
目が覚めると、外は一面の銀世界だった。
昨日、夜になってから降り出した雪は、シャルーの街をすっぽりと覆いモノクロの世界へと変貌させていた。
目覚めて、外がいつもよりも明るいことに気づいたトールは、カーテンの隙間から外を覗き、「わぁー」と声をあげる。そして寝間着のまま裸足で部屋を飛び出すと、トールを起こしに来たダニエルを振り切り、長い廊下の突き当りの部屋へノックもせずに駆け込んだ。
部屋の主は目覚めていたが、まだ寝台の上に居り、なにやら分厚い本を読んでいた。
「兄さま!兄さま!外、真っ白です」
トールは部屋に入った勢いのまま、兄ウィラードの寝台へとダイブする。
まだ5歳のトールは軽いので、ウィラードはそれを軽々と受け止めた。
「トール。挨拶が先だろう?それに、部屋に入るときは、きちんとノックをしなさい」
ウィラードに窘められ、トールは「あ」と声をあげた。
「おはようございます、ウィラード兄さま」
「おはよう、トール」
にっこりと笑ったウィラードに、トールはギュッと抱きつくと、小さな声で「ノックしないでごめんなさい」と謝った。
「雪がうれしかったのだろう?」
「はい。昨日ダニエルから、たくさん雪が積もったら今日は兄さまのお仕事お休みだって聞きました。だから、一緒にお庭で遊ぼうと思って……」
ウィラードの手を握って、トールは嬉しそうに言った。
「そうだな、これだけ積もると登城出来ないだろうから、今日はトールと遊ぶのもいいな」
ウィラードがそう言うと、トールは天使のような笑みを浮かべて「はい」と頷いた。
けれど朝食にもまだ少し早い時間である。ウィラードはもう少し寝ていなさいと、トールを自分の寝台に入れた。そしてトールの足がとても冷たいことに気づく。
「足が冷たいじゃないか。履物はどうした?」
「あ……忘れました」
トールがしゅんと項垂れると、落ち着いたノックの音が部屋に響いた。
「おはようございますウィラード様、ダニエルです。入ってもよろしいでしょうか?」
ドアの向こうからダニエルの声が聞こえた。
ウィラードが入室を許可すると、ダニエルがトールの着替えと靴を持って現れた。
「トール様のお召し物をお持ちしました」
そうしてダニエルはトールの服を窓際の椅子の上に置くと、一礼して下がろうとする。それをトールは呼び止めた。
「はい、何でしょう、トール様」
「今日、ダニエルも一緒に遊ぼうね。いっぱい雪だるまを作ろうね」
トールの言葉に、ダニエルはうなづいて、「朝食の時間に、また呼びにまいります」と言って退出して行った。
「昨日、夜、寝るときに、お祈りしたんです」
「何をだ?」
「兄さまがお休みになりますように、お空に向かって、粉雪降れ降れたくさん降れって、お祈りしました。雪がたくさん降ってたくさん積もったら、兄さまとダニエルといっぱい遊べます。いっぱい雪だるまを作って、雪合戦をして、いっぱいいっぱい、いーっぱい遊ぶんです」
蒲団の中からウィラードを見上げ、トールは楽しそうに笑う。
真っ白い雪の中、赤い瞳の可愛い天使は、雪うさぎのように元気に跳ねまわり、そして仕事で疲れたウィラードを癒してくれるだろう。
コナユキフレフレ……。
そんな緩やかで幸せなひと時が過ごせるなら、そう祈るのも悪くないと、ウィラードは思った。
兄さま大好き!な、ちびトールですが、まだ恋はしてません
トール5歳、ウィラード25歳、ダニエルは13歳です
『天の闇地の光』から、幼いころのトールと兄さまとダンを……
目が覚めると、外は一面の銀世界だった。
昨日、夜になってから降り出した雪は、シャルーの街をすっぽりと覆いモノクロの世界へと変貌させていた。
目覚めて、外がいつもよりも明るいことに気づいたトールは、カーテンの隙間から外を覗き、「わぁー」と声をあげる。そして寝間着のまま裸足で部屋を飛び出すと、トールを起こしに来たダニエルを振り切り、長い廊下の突き当りの部屋へノックもせずに駆け込んだ。
部屋の主は目覚めていたが、まだ寝台の上に居り、なにやら分厚い本を読んでいた。
「兄さま!兄さま!外、真っ白です」
トールは部屋に入った勢いのまま、兄ウィラードの寝台へとダイブする。
まだ5歳のトールは軽いので、ウィラードはそれを軽々と受け止めた。
「トール。挨拶が先だろう?それに、部屋に入るときは、きちんとノックをしなさい」
ウィラードに窘められ、トールは「あ」と声をあげた。
「おはようございます、ウィラード兄さま」
「おはよう、トール」
にっこりと笑ったウィラードに、トールはギュッと抱きつくと、小さな声で「ノックしないでごめんなさい」と謝った。
「雪がうれしかったのだろう?」
「はい。昨日ダニエルから、たくさん雪が積もったら今日は兄さまのお仕事お休みだって聞きました。だから、一緒にお庭で遊ぼうと思って……」
ウィラードの手を握って、トールは嬉しそうに言った。
「そうだな、これだけ積もると登城出来ないだろうから、今日はトールと遊ぶのもいいな」
ウィラードがそう言うと、トールは天使のような笑みを浮かべて「はい」と頷いた。
けれど朝食にもまだ少し早い時間である。ウィラードはもう少し寝ていなさいと、トールを自分の寝台に入れた。そしてトールの足がとても冷たいことに気づく。
「足が冷たいじゃないか。履物はどうした?」
「あ……忘れました」
トールがしゅんと項垂れると、落ち着いたノックの音が部屋に響いた。
「おはようございますウィラード様、ダニエルです。入ってもよろしいでしょうか?」
ドアの向こうからダニエルの声が聞こえた。
ウィラードが入室を許可すると、ダニエルがトールの着替えと靴を持って現れた。
「トール様のお召し物をお持ちしました」
そうしてダニエルはトールの服を窓際の椅子の上に置くと、一礼して下がろうとする。それをトールは呼び止めた。
「はい、何でしょう、トール様」
「今日、ダニエルも一緒に遊ぼうね。いっぱい雪だるまを作ろうね」
トールの言葉に、ダニエルはうなづいて、「朝食の時間に、また呼びにまいります」と言って退出して行った。
「昨日、夜、寝るときに、お祈りしたんです」
「何をだ?」
「兄さまがお休みになりますように、お空に向かって、粉雪降れ降れたくさん降れって、お祈りしました。雪がたくさん降ってたくさん積もったら、兄さまとダニエルといっぱい遊べます。いっぱい雪だるまを作って、雪合戦をして、いっぱいいっぱい、いーっぱい遊ぶんです」
蒲団の中からウィラードを見上げ、トールは楽しそうに笑う。
真っ白い雪の中、赤い瞳の可愛い天使は、雪うさぎのように元気に跳ねまわり、そして仕事で疲れたウィラードを癒してくれるだろう。
コナユキフレフレ……。
そんな緩やかで幸せなひと時が過ごせるなら、そう祈るのも悪くないと、ウィラードは思った。
兄さま大好き!な、ちびトールですが、まだ恋はしてません
トール5歳、ウィラード25歳、ダニエルは13歳です
2008-12-15 16:01
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